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商品の良さを売り込むと失敗する?ゴールデンサークルの戦略と思考

2017年07月27日
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はじめに

 企業は、商品の販売等で売上や利益を上げなければならないのは当たり前のことである。ただ、商品が思ったより売れないとかノルマが達成できないなどで苦労している場合も多い。
 その多くが、せっかく良い商品やサービスを持っているにもかかわらず、その商品の良さを誤った方法や戦略でアピールすることで、逆に相手の購買意欲を失わせしまい、顧客のココロに届かない状況を作ってしまっているかもしれない。
 あなたが、もし、顧客であれば、このような営業をされたら、納得して購入できないだろうという行動を、あなたが販売側に立つことで、そのような行動をとってしまっていることもあるのではないか。
 あなたが、商品の販売で苦労しているのに、アップルがどうしであれほど革新的であり続け、iPhoneがあれだけ売れるようになったのか。
 そこで、サイモン・シネック氏の「優れたリーダーはどうやって行動を促すか(How great leaders inspire action.)」を参考に、「Why(なぜ)」から考える商品が売れるためのシンプルな考え方を解説したいと思う。この内容は、商品販売に限らず、部下の行動など、すべてのビジネスシーンにおけるすべての行動に適用できるものと考える。
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1.多くの企業は、Whatから戦略を立てている

 サイモン・シネック氏の説明によれば以下の通りである。
 会社員なら、会社組織に属していれば、自分たちが何をしているかは誰でもわかっている。そこで、何をすべきか、例えば何を売るかについて、どのようにしたらよいかを考えていく。差別化するための価値提案とかセールスポイントなどである。我々の多くは、何は、どう違い、どう優れているかを伝えて、顧客(相手)が何か行動を起こすことを期待するのである。例えば、法律事務所を開所した際に、「われわれの事務所は、最高の弁護士がそろっており、常にクライアント第一で行動する。」というような売り込み方をする。これでは、売り込まれた相手は心を動かされず、ここの事務所に案件を依頼することは見送ってしまうかもしれないのである。このような売り込みをしている人や組織に「なぜ」やっているのかと問いかけた場合、回答に苦慮する場合も少なくないのである。商品等の販売を推し進めている人や組織であっても、重要である「なぜ」がわかっていないことが多いのが現状なのである。
 また、このような「なぜ」という質問をすると「利益」と答える者もいるが、「利益」は結果であり、「なぜ」の回答ではないのである。

2.Whyからはじめる

 サイモン・シネック氏は、多くは上述のようにWhat→How→Whyと考えているが、優れたリーダーは、全く逆でWhyから始めて、Why→How→Whatで考えていることに気が付いたのである。すなわち、目的からスタートしているのである。「ゴールデンサークル」である。Whyが中心で、その外にHow、さらにその外側にWhatがある円を描き、それを内側から外側に向かって考えることが、「ゴールデンサークル」なのである。サイモン・シネック氏曰く、スティーブ・ジョブズもマーチン・ルーサーキングも、ライト兄弟も同様だということである。
 もし、アップルが、「我々のコンピュータは素晴らしく、美しいデザインで、簡単に使用でき、ユーザーフレンドリーな商品ですが、おひとついかがですか?」というCMを打ったとしたら、我々はこのアップルの商品を購入するだろうか。しかし、アップルはこのような売り込みはしないのである。アップルはこんな風に伝えるのである。
「私たちのすることは、すべて世界を変えるという信念で行っています。異なる考え方に価値があると信じています。私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。こうして、この素晴らしいコンピュータができあがりました。」と。

3.Whyは心に届く

 人は、Why(なぜ)からスタートして説明をすると、自分が何をしようとしているかがわかり、反応をするのである。「何を」ではなく、「なぜ」に人は動かされるのである。「なぜ」がわかると、その商品に魅力を感じ、自分のために商品を購入することとなるのである。「なぜ」がわかると、購入の納得感が得られるのである。前述のこれまえの外側から内側(What→How→Why)での売り込みでは、メリットや数値や事といった情報は理解できるが、納得しているとはいえないので、購入の行動に移らないのである。Whyでココロが動くのである。もし経営者がWhyから説明するなら、その従業員は忠誠心をもって加わりたいなどと思うのである。お金のために働くのではなく、そのWhyのために、汗を流して仕事をしてくれるのである。経営者が、自分の会社の存在価値や自社の事業の目的や意義が説明できないようであれば、その経営者は経営者としては失格であり、事業がうまくいくわけないのである。
 優れたリーダーは、商品を必要とする人にその商品売ることではなく、自分が信じるものを信じてくれる人に売る方法を実行する。
 スティーブ・ジョブズは、アップルの経営者は、この方法を実行し、iPhoneを6時間も12時間も並んで購入するユーザーを獲得することができたのである。
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4.SNSでのシェア

 最近SNSを通して、商品やサービスについて、一般ユーザーからシェアされ、コンバージョンされ、拡散されることが多くなった。これは、Whyからの商品販売が機能するようになれば、その内容が、一般ユーザーを通して、その商品への思いが伝わりやすくなった環境になったといえる。
 この環境下においては、「なぜ」というその商品を販売している目的が拡散していくことで、商品の売上に直結していくようになっていくと考えられ、これまで以上に、この商品の販売の「Why」が重要になっていくものと考えられる。これからは、「なぜ」が明確でないと、ビジネスはうまく進まない状況になった。

5.自分を売り込むことはNG

 商品を販売する場合、あたまからこの商品は、このように優れているばかり言う営業をし続けると、相手に対して納得してもらえるばかりか、かえって不信感を与えることになりかねない。数値ばかりを並べられたリ、営業トークでこの商品はこのように優れているばかりの話をされても、その営業を信用するだろうか。ビジネスは、顧客のニーズに合わせて、それをサポートすることなどで、顧客に喜びを与えて信用されなければならないのである。自社の商品の良さだけを伝えようとする販売方法は、うまくいかないのである。

6.喜びと感動を

 商品の販売は、販売で終了ではない。売り切りで終了させては、売上拡大のチャンスを失っているのかもしれない。優れた経営者や営業は、商品の販売はある意味スタートであって、販売後に本領を発揮すべき舞台だと考えていると思われる。例えば、顧客が購入した商品を持ち帰るのが大変なのであれば、持ち帰ることをサポートすることもあるだろう。プレゼントなら演出を手伝うこともできるだろう、また、持ち帰った商品のさらなるサポートや、商品のリフォームの支援など、また買い替えの支援などいくらでもビジネスは広げられる。販売後の顧客の商品の状況を、手紙や訪問なども含め把握するのもありだろう。このような営業活動を行っている分野も多いが、売り切りで済ませてしまっている分野も多い。将来的なビジネス展開や売上が期待のできないビジネスをしているようであれば、新たな顧客を探すことに躍起にならざるを得ず、ビジネスを長続きさせるのは困難であろう。将来の展望が見えるようなビジネスをすべきである。目的が明らかなビジネスであれば、このような方法はいくらでも考えつき、そのようなビジネスの経営をしていれば、将来は明るくなるであろう。
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7.最後に

 いかがであろう。この考え方は、経営者やリーダーに限らず、すべてのビジネスシーンで役立つ考え方である。ビジネスとは、顧客にどれだけ、喜びと感動を与えるかで成功するか否かが決まるのである。
 日本では、義務教育では、ひとつの正解をだす問題が多く出されて、それを解く機会が多い。周りと同じかどうか気になり、競合との比較のみばかり気にすることも多くなる。競合と同じことをしていれば、競争相手ばかり増えて、市場の奪い合いで終わってしまう可能性もある。ビジネスの世界では、正解はひとつではない。また、いろいろな考え方、すべてが正解ともいえる。ひとつの考え方にとらわれてはいけない。
 なかなかうまくいかないときには、まったく逆からの視点も必要であると思われる。
 厚切りジェイソンさんが、”Why?”を繰り返すお笑いをしていたが、実は、ビジネスでは、”Why?”をよく考えることが重要なのである。
 まずは、自らの行動について、「なぜ」を立ち止まって考えてみる必要があるのではないだろうか。

Simon Sinek / How great leaders inspire action.の動画はこちら
https://www.ted.com/talks/simon_sinek_how_great_leaders_inspire_action?language=ja

 

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